リビングデッドは世紀の大発明なのだ!
『バタリアン』は1985年の映画だがぼくは封切り当時に観てとても面白かった。
原題は『The Return Of The Living Dead』であり実は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の続編である。
けれど監督のダン・オバノンはこの作品を正編に対するパロディとして制作した。
これは結果的に大成功で『バタリアン』はシリーズとして5本作られた。U-NEXTでは最初の3本が配信されている。
4と5は観てないのでなんとも言えないが3本に関して言えば『バタリアン』だけでいいんじゃね?
『バタリアン2』は前作をなぞっただけの出来損ないだし『バタリアン リターンズ』はコメディ要素を排した恋愛モノになっている。まったくテイストが違うのだ。
『バタリアン』の人を食った可笑しさがひとつもないのだ。
ただ自らはゾンビとなりながらも恋人のために必死で理性を保とうとする女の子のボンテージ姿が衝撃的でこれだけで観る価値があるかも。
まあ、それだけなんだけど。
話を『バタリアン』に戻すが当時この映画は観てなくともタイトルだけは知ってるという人が多かった。
それは宣伝がうまかったのもあるしこのタイトルからオバタリアンという流行語が生まれたせいもあるだろう。
バタリアンとは英語で大群を意味する言葉らしいが、たぶん語感だけで名付けたに違いない。
なにしろ配給があの東宝東和だからね。
この会社、原題なんかまったく無視してインパクトだけで邦題をつけたり明らかにウソとわかる手法を用いて宣伝を展開していた。
たとえば『サランドラ』というホラー映画ではジョギリ・ショック!なる宣伝文句がやたら使われていました。
ジョギリとは切れ味するどい架空の殺人凶器ですが映画を観たらそんなものは一切でてこなかった!
他にも映画を観てショック死したらどっかの外国の墓地に埋葬します!とか絶叫しすぎて声帯がいかれたときの為に絶叫保険を用意しました! とかね。
登場人物の名前を勝手につけるとかは当たり前。
『バタリアン』でもタールマンとかオバンバなどすべて東宝東和の命名だ。
けれどそれは非難されるようなものではなく当時の映画好きは次は何をやってくれるか?と楽しんでいたのも事実。
まあコンプライアンスなんて言葉もない時代でしたから。
ダン・オバノンが『バタリアン』を正編のパロディとしたのはそれだけ『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』がその後のホラー映画を変えたエポックメーキング的な作品だったからだろう。
『ナイト~』はゾンビ映画の礎を作ったとも言える作品なのだ。
リビングデッドの創造はまさに画期的でした。
こいつはそれまでの怪物に比べてはるかに低コストでできるから。
なんせ生身の俳優にちょっとメイクをするだけ。
あとは表情だったり動作だけで観るものにこれ以上ない恐怖をおぼえさせる。
ぼくはスプラッターとか化け物とかは脳ミソがこれは作り物だとすぐに認知してくれるので割と平気なんですが、ゾンビだけは苦手なんです。
死んでいても人間だから余計こわいんですかね?
その点『バタリアン』は同じゾンビでも、本気にするなよ。冗談なんだから。という感じがあって楽しんで観ることができました。
フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン
1965年に東宝がアメリカの制作会社と共同で作った怪獣映画です。
ぼくは小学生ぐらいのときにテレビで観ました。
東宝の怪獣映画といえばゴジラですが他にもいろんな怪獣ものがつくられました。
ひとつのジャンルとして成立していたんだね。
最初はひたすら凶暴な大怪獣が何もかも破壊しまくって人類の敵だったのが。
やがて怪獣同士が対決するようになりゴジラとかガメラは人類の味方、子供のヒーローということになっていきました。
ゴジラなんかイヤミのシェーとかしちゃったりしてシラケましたね。
ミニラなんて子供も登場してくるし。
そんな当時テレビで観た『フランケンシュタイン対地底怪獣』はかなり強烈でした。
まずフランケンシュタインの怪物があれ多分身長が10数メートルなんですよね。
ゴジラとかの4分の1ぐらいでそれぐらいの大きさが妙にリアルで怖いんだ。
最初は普通の子供と同じくらいの身長だったのがどんどん巨大化していって研究所から脱走するんですね。
それで愛情をかけてもらっていた水野久美演じる研究者の家に会いにくるシーンがあるんだけど、それが団地の2階だか3階なんですよ。
水野久美がハッとして窓の外に目をやると怪物がこちらを見ている。
ゾクゾクするシーンでした。
細かいところを言えば突っ込みどころはいろいろとあるんですが実は変容していったゴジラとかより怪獣映画らしい作品だと思いました。
ちょっとキングコングや本家のフランケンシュタインにも通ずる哀愁みたいな余韻も感じられます。
好評だったのか続編の『サンダ対ガイラ』も作られました。こちらはフランケンシュタインの怪物同士の対決もの。
続編には水野久美の同僚役でラス・タンブリンが出演しています。彼は『略奪された7人の花嫁』や『ウエスト・サイド物語』にも出ているハリウッドの有名スターです。
2本ともU-NEXTで観ることができる。
U-NEXT こちらから詳細を確認できます。
*なお本ページの情報は2021年6月時点のものです。最新の配信状況等はU-NEXTサイトにてご確認ください。